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同じモチーフでも、人が違えば表現も変わる

空飛ぶりんご
体験教室を長く実施していると、
そのカリキュラム自体にも次第に変化があらわれます。

限られた時間内での体験教室では、
込み入った図柄を手掛けている時間はありません。
そのために、図柄の決定の仕方にはいろいろと工夫をしました。

初心者が、自分の図柄のアイデアを出すのは容易ではありません。
そこで体験教室をはじめた当初に考え出したのは、
あらかじめ2〜3のサンプル画像を用意しておくことでした。
用意したサンプルの中から、参加者に好きな画像を選んでもらいます。

しかし、それだけでは体験者自身の表現意識は出てきません。
作業モルモットみたいなものになってしまいます。

そこでサンプル画像には、「感情を喚起するための語彙」を含んだ
「長〜いタイトル」をそれぞれにつけておきました。

参加者はまず選んだ画像を眺め、それから長〜いタイトルの意味を考えます。
その段階で、画像から参加者自身の自分なりのイメージが想起されてきます。

そのとき、画中のモチーフを一つだけ自分でさらに追加する指示を与えます。

すでに出来上がっている図柄の中に、モチーフを追加せねばなりません。
構図のどの場所に、モチーフをどのような大きさで追加するのか?
たったそれだけで、画像のイメージが人それぞれに変化していきます。

そのうえで、タイトルの意味に沿った「表現」が画面から感じられるように、
画面の中に新たな「彫りの表現」を加味していってもらいます。
この段階では、まったく各自の自由な発想にお任せします。

たったそれだけのことで、同一のサンプル画像でも、一人ひとり表現法が変わってきます。
タイトル下のアイキャッチ画像と、上の参考作品の画像。
実は同じサンプル画像から制作されました。




例えば、こんなサンプル画像が提示されたら、あなたならどうする?

りんご=サンプル画像
背景は真っ白で、大・中・小 数個のりんごが寄り集まったり離れたり、
あたかも空中を漂っているかのような感じに描かれている。
これがサンプルとして提示された画像です。

このサンプル画像のタイトルは、
『空中を猛烈なスピードで飛び交うりんご』。

さらに、イメージアップするための条件もついています
1,トレシングペーパーの「版下枠」内で、縦・横・斜めと画面を自由に構成し直してよい
2,重なり合うりんごのどちらを前にするか、前後関係は自分で決めてよい
そして、前述の
3,「版下」上で、自分で「ここだ」と感じた位置に、りんごを1個プラスして描き足す

この条件をクリアする頃には、体験教室参加者各自の頭の中の画像イメージは、
一人ひとりまったく異なったイメージに変化しているのです。


もし、あなただったら・・・、
このサンプルからどんな作品が生まれてくるでしょうか?


【図柄・彫刻刀の使い方と彫り・ばれんと摺り・・・・・額装と鑑賞】  体験教室の一日

孔雀の木版画
この体験教室は、お楽しみのためのワークショップとは少し異なります。
単に「楽しかったー」で終わっては困るのです。

申込者の大半は、小学校以来描画の手ほどきを受けたこともなく、
まっるで初心者なんですけど・・・という方がほとんど。
正直、描画と版画の区別もよくわからない。
でも、いつか絵画にトライしてみたいと密かに望んでいた。

そういう人々の大切な一日です。
ただ気休めの体験で終わってはもったいない、ですよね。
図柄をまとめて一枚の下絵にし、版を彫って、絵の具をつけて摺る。
そして、摺り上げた作品の額装の仕方を学び、自作を鑑賞する。

そこまでの一連の作業を通して、木版画制作の流れを掴む。
筆で描く「描画」と、版木を彫って「版」を作った上で摺り上げる「木版画」。
絵画表現の違いによる「表現の差」「作業の差」の違いを知る。

それを一日を通してしっかり体感していただく、そのための体験教室です。

「絵画」の領域は多岐にわたりますが、
「木版画」は手仕事の要素も持ちながら、表現の巾も広く、その手法もさまざまです。
機会を見て、一度体験してみてはいかがでしょうか。


木版画教室 ゆう ワンデイ体験教室
木版画教室 ゆう ハーフデイ体験教室
木版画教室 ゆう オンライン教室