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木版画の持つ多彩な手法。体験者の希望に沿った技法選択で学ぶ

ニューヨークから来たデザイナーの若者は、
自作デザインを木版画にしたいと希望してやってきました。
版づくりの基本を学んだ後、数時間の体験学習中に黒と黄色二色版の作品を完成させます。
(タイトル下のアイキャッチ画像参照)

体験学習中に完成した作品は、必ず額装して、
最後に2メートル離れて鑑賞するのがこの教室の「流儀」。
飾って何度も目にして、講座を振り返ってもらうのと同時に、
「額縁に入れて完成」という作品の鑑賞の仕方も覚えてもらいます。

自宅に持ち帰って何度も自作に目を通していると、
「あ、ここはもっとしっかりした彫りがよかったな」とか、
「もっと省略して大胆な表現にすればよかった」などと、
次回作に繋がる「作者としての」反省点が次第に見えてきます。
だから必ず作品を「額装して」、体験教室講座を終了することにしているのです。


上図の花火は、実は複雑そうに見えて、手法としては簡単な版画です。
黒一色の版木です。だから、丸刀でザクザクと花火模様を彫るだけなのです。

摺りにコツがあります。用紙のどの位置に別色が来るか決めておいて、
最初に、用紙一枚一枚に筆で各色を塗って乾かしておきます。
紙で作品サイズと同じ窓を抜いた枠を作っておいて色を塗り分けると楽ちんです。

最後に版木の黒をドカッと摺り上げると、
あらまあ! 一気になんとも賑やかな作品の完成です。

こんな簡単な手法でも、刀の使い方、彫り方、見当の付け方、
色イメージのバランスの取り方、版の摺り方・・・・・etc.、
体験教室ならでは、学ぶことはたくさんあります。


図柄のアイデアに悩んだときは? 体験教室参加者のための「回転法」

得手不得手といいうものがあって、不得手なものには頭が働かなくなるものです。

これは誰にでもあることで、
特に絵に苦手意識がある人は、図柄のアイデアがなかなか決まらず時間が過ぎます。
そんな人には、この「回転木版画」は救世主みたいなものでしょう。

ただし、真四角の版木を使うことが必要です。

制作は、とにかく四角の版木を適当に彫るだけ。
無理やりになにかの絵を描く必要もありません。
彫りの練習を兼ねて、版面を思いつくままに楽しく彫ればいいのです。

どんな図柄になるかは、摺ってみなければわかりません。
それを楽しみにしながら彫るのです。

ただこの方法は、用紙の位置を決める「見当」を版木に彫りません。
版木とは別の「外見当版」というものを使って位置合わせをします。
そして、版木の4つの角を順番に見当に合わせて摺り重ねていきます。

1回毎に色を変えるには、摺った後に版木を洗う必要があります。
色を洗い落とした版木に次の色を、、、と順番に摺っていきます。
版木を洗って色替えするので、最初に摺る枚数を決めておいて、
一色ずつ摺り終わりながら進めるほうがいいですね。

単純に彫っただけの版木ですが、色の重なりや回転のズレで、
頭では思いつけない複雑な図柄ができあがります。
簡単なのに、木版画の基本はしっかり学べます。


多色木版画なのに・・・版木は一つ。どうやってつくるわけ?

次の「りんご園」もカラフルな作品ですね。
こんなにたくさん色が使ってあるのに、使用している版木は一枚だけ。
・・・それって、どういうこと?

一口に木版画といいますが、
木版画って、本当にいろいろなやり方があるのです。

ふつう木版画という言葉でイメージするのは、
黒一色のやや重たい感じの画面ですね。
そうでなければ、浮世絵が代表するような色がたくさん使ってある多色木版画。

そう、一般的には「単色版の木版画」と「多色版の木版画」とに二大別します。
その基本の上で、いろいろ工夫が凝らされて、実にたくさんのバリエーションがあるのです。
上の「りんご園」は、「一版多色法」の木版画です。図柄を線彫りで彫っただけの版木です。

版木と用紙の位置を固定して、少し絵の具をつけてはすぐにその部分を摺り、
気の済むまで絵の具をつけては摺り、つけては摺りを繰り返します。

この方法は、版木を何枚もたくさん彫る苦労はないけれど、
同じものを何枚も摺り増して行くことはできません。

もう一枚の紙でやってみると、同じ柄の作品ではあるのですが、
まったく同じ配色の作品にはならないのです。
つまり、1点1点が違った色味の作品ということになります。

小学生でもできるような技法ではあるのですが、奥は深いのです。


木版画表現の奥深さは体感するごとに深まります、まずはシンプルな技法から

「りんご園」と同じ技法の作品です。
こちらは経験豊富な方の作品で、同じ手法でも少し手が混んでいます。

表現技法としての木版画は、単色・多色にとどまらず
とても奥が深いものです。
ある意味、作家の数だけ技法があると言ってもいいくらい。

だから、基礎的な基本技能を習得すれば、
後は個々人の表現の工夫次第ということになります。


体験教室は、その基礎の流れを体感する時間です。
常日頃木版画に興味を感じている方は、一度ぜひチャレンジしてみてください。


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