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体験作品つくるなら「かわいいペット」を絵姿で残したい

体験教室に参加される方の中には、
かわいがっているペットを絵姿として残したい、
という目的を持った方が一定数あります。

漠然と体験したいのではなく、目的を持った参加なので、
その方々は指示しなくてもはじめから下絵を準備して参加されます。

したがって、作業は下絵の調整から進めるのですが、
飼い主である参加者はモチーフにベッタリで、正直それしか見えてないものです。
たいてい、画用紙のど真ん中にペットがドンと描いてあります。

作品にするには、「画面」という枠組が一応必要になります、
画面の大きさに合わせて、下絵のモチーフをどのように配置するのか?
隅に寄せてみたり、画面から一部はみ出させてみたり、下絵を拡大・縮小したり。
「絵」というものは、サイズやものの配置によってイメージが変化するものなのです。

つまり、画面の構成がとても大切なのですね。
そこで、画面のサイズをまず最初に決めてもらってから、
その画面枠の中に対象であるペットをどのように構成するか、と考えてもらいます。


上図の「頭でっかち」さん。
顔の表情に飼い主さんの意識が集中していますので、
少し意図的に頭を拡大、胴体を縮小して、強調表現しています。
今にも甘えて飛びかかってきそうな、そんなイメージの構図です。

顔の表情、いかにもかわいいペットちゃんですね。


下絵を「版下」上で調整して、作品の表現をグレードアップさせる

ちょっと珍しいペットを飼っている作者。
かごの中で飛び回る姿が、なんとも愛おしいそうです。

鉛筆スケッチの下絵を、画面としてどのように構成するか。
いろいろテストして、最終的にこの構図になりました。

この構図に決定するのに大いに役立ったのが、「版下」作成の手順です。

トレーシングペーパーに、サイズの定まった図柄画面の枠をつくり、
枠の左辺と下辺それぞれに、一定の「さらい」のための巾を空け、
平行線を引きます。これは「見当」のためのラインです。

「版下」とは、版を彫るための線のみで描いた転写用の下絵です、
必ず一定のさらい幅をとったL字状の見当線がついています。

下絵の上に、画面枠の引いてある版下用のトレシングペーパーを重ねます。
すると、ペーパーが透けて元の下絵が見えますから、
ペーパーの枠の位置を上下左右・斜めと、自由に移動させながら、
画面枠内のどこに下絵のモチーフを位置づけるか探します。

構図的にベストな位置が決まったら、そこでペーパーを固定して、
モチーフの元絵の形をトレシングペーパーの画面枠内に写し取ります。

上手の斜めの角度でジャンプしたモチーフ。

これに対応して上下に広がる黒ベタの空き空間、
かなり絶妙なバランスの空き感覚で配置されていると思いませんか?

このように、木版画の場合は「版下」をつくる際に、
モチーフを自在に画面枠内に配置構成することができます。
これは描画にはできないかなり大きな利点ですね。


背景処理の工夫で、図柄のイメージを強調する

タイトル下のアイキャッチ画像のワンちゃんは、
もともとこんなスケッチ風の下絵でした。

このときは、ほとんど手直しなく、
画面枠内にそっくり収める形で、「版下」をつくりました。

しかし、彫り上がって試し摺りをしてみると、
周りの黒ベタの余白が広すぎて、いまいち画面が引き締まらない。

そこで、作者と相談しながら、漫画的感情表現法を参照しながら、
ワンちゃんを中心にして放射線を入れることにしました。

よく知られた、単純な強調法の感情表現ですが、
モチーフの犬に焦点が強く集中し、図柄が引き締まりました。

同時に、画面の中に動きが生じていますし、
何より数十本の陰刻の直線が刻まれたことで、
画面として「白黒の割合」のバランスが取れました。


参加者ののぞみに沿いながら、体験できる教室。
以下のリンクからお申し込みください。


外部リンク

木版画教室 ゆう ワンデイ体験教室
木版画教室 ゆう ハーフデイ体験教室
木版画教室 ゆう オンライン教室